建物のコト

江戸時代から守り育ててきたこの土地の、古き良きものを残しながら、丁寧にリノベーションを進めています。

<ニシイケバレイ>  建築家・須藤 剛

大都市に現れたピクニックできる散歩道

現代の私たちの都市での暮らしは、いろいろなもので制御され、あまり自発的に考えなくても生活ができるようになっています。

とても便利ですが、それだけでは自分で考える力を養う機会や、自然とのつながりを感じることのない暮らしになってしまうのでないかと思います。

江戸時代からまもり育ててきたこの地を、使い方を与えるだけではなく、使う人が小さな発見をできる場所にできたら、より豊かな場として引き継いで行けるのではないだろうか。

そんな考えの下、ニシイケバレイにちりばめた工夫を解説したいと思います。


ニシイケバレイのエリア内に複数建つ建物と建物の間は、裏側のスペースと捉えるのではなく、めぐる楽しみを作る場所として整備することにました。

そのためまずは、「Chanoma(チャノマ)」をぐるりと囲んでいた万年塀を、思い切って撤去することから始めました。


道は、敷地内から張り出した枕木やレンガで舗装するなど、通路と敷地の境界をあえて曖昧に。

ちなみに、地面に使われていたレンガや御影石を、そのまま道脇の花壇として活かすなど、素材の使い方も一つに縛られない工夫をしています。


ニシイケバレイをめぐる楽しさの演出のひとつとして、各所にエリア名を示すサインも掲示。街に溶け込ませるため、街区表示板を模したデザインに仕上げています。
「町中の道路でピクニックできるかも?」。そんな想像力を掻き立てるような場所が池袋という大都市にできたらよいなと思っています。

文責:建築家・須藤 剛(すどう つよし)
Tsudou Design Studio/株式会社須藤剛建築設計事務所 代表取締役、日本大学非常勤講師 | ニシイケバレイの建築や全体エリアの設計を担当
写真:池ノ谷侑花

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